ケーススタディ
「メールが届かない」「迷惑メールになる」サーバー移行後に多いメールトラブルと正しい対処法
CASE
メールサーバー移行時に起こりやすい送受信トラブルと迷惑メール対策
サーバー移行後に「メールが届かない」「送ったメールが迷惑メールに入る」といったトラブルは非常に多く発生する。
サーバー移行が完了してWebサイトは問題なく表示されているのに、
なぜかメールだけが届かない・送れない──。
このような相談は、サーバー移行後のトラブルとして非常によくあります。
混同しやすいのですが、メールはWebサイトとは別の仕組みで動いているため、サーバー移行時に設定を正しく引き継がないと、不達や迷惑メール判定といった問題が起こりやすいのです。
この記事では、メールサーバー移行で特につまずきやすいポイントと、実務で押さえておくべき設定項目を丁寧に整理します。
Contents
サーバー移行後に多いメールトラブルの例
Webサイトのサーバー移行を行ったところ、予期していなかったメールの送受信でトラブルが起こるケースが良くあります。
■トラブルの例
| ✔ メールが送信できない/受信できない | SMTPサーバー情報やポート番号、認証方式が旧環境のままになっているケース。 特にSSL/TLS設定の違いが原因になることが多く見られる。 |
| ✔ メールは送れるが相手に届かない | 一見正常に送信できているようでも、実際には相手側でブロックされている 迷惑メールフォルダに振り分けられている、など。 |
| ✔ 迷惑メールに判定されるようになった | 送信元IPアドレスが変わることでメールの信頼性が下がり、迷惑メール判定されやすくなった。 |
| ✔ フォームからの自動返信メールが届かない | WebフォームがPHPのmail関数を使っている場合、新サーバー側で制限されていることがある。 |
メールトラブルが起きる主な原因
上記で挙げたようなメールトラブルが起きる原因について見ていきましょう。
多くの場合原因は決まっているので、順番に設定を確認していけば解消するケースも多いです。
SMTP設定の未変更
次の設定が新サーバーに合っていないと、送信エラーになります。
- サーバー名
- ポート番号(25 / 465 / 587)
- 暗号化方式(SSL / TLS)
- 認証の有無
SPF・DKIM・DMARC の未設定/不一致
SPF・DKIM・DMARCは、「このサーバーからのメールは正当なものです」と証明する仕組みです。
移行後にこれらが正しく設定されていないと、迷惑メール扱いされやすくなります。
- SPF:送信元サーバーの正当性
- DKIM:メール内容の改ざん防止
- DMARC:SPF/DKIM失敗時の扱い方針
送信元IPアドレスの評価リセット
新しいサーバーのIPアドレスは過去の送信実績がないため、一時的に信用度が低い状態になります。
正しいメールサーバー移行の手順
では、メールトラブルを避けるためにはどのような手順を踏んだら良いでしょうか。
サーバー移管を行う前から事前準備を行う必要があります。
1. 旧環境のメール設定をすべて控える
次の内容は必ず必須の内容として設定を控えておきましょう。
OutlookやGmailなどの設定画面をスクリーンショットで残すのもオススメの方法です。
- SMTP / POP / IMAP サーバー名
- ポート番号
- 認証方式
- メールアドレス一覧
2. 新サーバー側で同等のメール環境を構築
移行先のサーバーでも旧環境と同じ条件を再現する意識が大事になります。
- メールアカウント作成
- 容量設定
- 転送・自動返信の確認
※同条件の設定ができない場合は、以降の手順でも不足がある場合がありますので、新サーバーでの条件に合わせた設定を確認してください。
3. SMTP認証を使った送信に切り替える
PHPのmail関数ではなく、SMTP認証(ID・パスワードあり)を使うことで、送信成功率と信頼性が大きく向上します。
4. SPF・DKIM・DMARC をDNSに設定
DNS(TXTレコード)に正しく登録し、設定後は反映を待ってテスト送信を行います。
5. テストメールを複数のアドレスに送信
Gmail、Yahoo!メール、Outlook など複数宛先でテストし、迷惑メールに入らないかを必ず確認しましょう。
種類の異なるメールを試しておくことで、運用時の抜け漏れを防ぐことができます。
移行直後に気をつけたい運用ポイント
移行直後は不安定な状態です。
安定するまでは、次のような点に気をつけて運用を続けることを推奨いたします。
大量送信を避ける
移行直後に一気に大量メールを送ると、スパム扱いされやすくなります。
フォームメールの到達確認を数日間行う
問い合わせメールは見落としが致命的になるため、移行後しばらくは重点的にチェックします。
エラーメール(バウンス)を確認する
送信エラー通知には、原因が明確に書かれていることが多く、トラブル解決のヒントになります。
まとめ:メールは「動いて当たり前」だからこそ慎重に
メールはWebサイト移行では忘れられやすい存在ですが、止まると業務に直結する重要なインフラです。
サーバー移行を行う際には、
- SMTP設定
- 認証設定(SPF/DKIM/DMARC)
- 送信テスト
を丁寧に行うことで、多くのトラブルを未然に防ぐことができます。
使用するサーバーや契約プランなどにより、手順や必要な作業は異なります。本記事では一般的な内容をご紹介しておりますのでご了承くださいませ。
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